1 絵を学ぶ心構え
(1) うまい絵を描こうと考えるより、良い絵を描こう、自分の絵を描こうと考えましょう。
(2)良い絵、自分の絵を描くために、必要な理論・知識・技術を身に付けるよう努力しましょう。
(3)絵は描きたいときに、描きたいもの(こと)を描きたいように描けばよいのです。とにかく、たくさん描いてみましょう。その中から、描きたいように描くためにはどうしたらよいかなど、疑問点や課題や自分の絵の方向を見つけるように努力しましょう。
(4)良い(なるべく評価の定まっている)絵をたくさん観ましょう(画集でもよい)。その中から、自分もこんな絵を描いてみたいという絵を見つけましょう。また、なぜ良いのかを考えましょう。
(5)自然・人・物・出来事などを、心を込めて良く見つめてみましょう。
(6)自分の感動・自分の物事の見方や感じ方、を大切にし、自分の心の中を良く見つめてみましょう。
2 物を見るということ
もの(静物、人物、動植物、風景、建築物・出来事などすべてを含む)を見る(観る、視るなど)場合、その見方にはいろいろあります。
絵を描く(創作・創造する)ためには、次の(1)だけでなく(2)や(3)がとても大切です。自分から発信する(描く・創る・表現する)ためのもとになる受信をしっかりする(見る・とらえる・感じる)ことがとても大切なのです。
(1)目で見た様子(平面的に、機械的に、眺める)
形・色・線・光と陰(影)など、そのとき自分の目(視覚)に映る様子(写真的見方)のことです。この見え方は、見る方向や光の方向や強さや色などによって、同じものがまったく違って見えるのです。ですから、その物の実態(実体)を本当に見ている(とらえている)とは言えない面があります。
(2)そのものの「存在」を見る(とらえる)
量としてもかたまり、在質感、重量感、回りのものや空間との関係など、その物の存在する実態(実体)をとらえることです。場合によっては、ものの裏側を見る、温度やにおいもとらえることなども含みます。
(3)自分の「心」で見る(感じる、確かめる)
そのものの実態や存在が自分の心にどう感じられるか、どこがどのような感動を自分に与えたのか、なぜ感動を与えたのか、そのものが自分にどんな意味を持っているかなど、存在の意味をとらえることです。
場合によっては、見えないもの、存在しないものを「心」でとらえる、イメージとしてとらえること(思索的、感覚的認識)も含みます。